TRAIL TRIP IN LADAKH 第4.5章〜バイクトリップインラダック〜
2016.8.17紳士淑女の皆様、ご機嫌麗しゅうございます。平馬です。
ラダック滞在が十日を過ぎ、帰国の日を指折り数えながらもこの地を去る寂しさを感じ始めていました。
連日マウンテンバイクにまたがりトレイルや車道、町中まで走り倒しました。そんな中いつも僕たちの視界にはモーターサイクルがいました。峠からの下りでは颯爽と追い抜き、タクシーでの移動の際は逆に追い抜かれ、その度にハイテンションでサムズアップをかましてくる彼ら。いつしか僕らは、エンジンついたやつにも乗ってみたいという欲求を抑えられなくなっていました。
というわけで早速借りてきました。
ここラダックでのバイクは、この『ロイヤルエンフィールド』なるものほぼ一択です。
青い空と褐色の山肌は相変わらず。
このバイクで向かう先は、レーの町から60kmほど離れた『チリン』という鍛冶職人が多くいる村。
ツーリングがてらお土産を買いに行こうというのんびり小旅行になる、はずでした。
不穏な空気を匂わせたものの、序盤は順調。どこまでも真っ直ぐな車道を走り続けました。
レーから離れるほどに建物は少なくなり、道も荒れてきました。そんな道中、道を広げるための土木工事の現場に遭遇しました。
重機と手作業で岩を砕いている傍らに、無造作に置かれた数十本の筒状の物体。ダイナマイトでした。
もはや特に驚くこともなくバイクを走らせます。石でできた標識の「チリンまで」の数字が少なくなっていきます。
そして5kmの標識を過ぎた時、バイクが静かに止まりました。そう、ガス欠です。
レーを出た時には満タンだったはず、距離から見ても十分足りるはずなどと考えたところでバイクは動きません。
やむを得ず、ガソリンをわけてもらうために車が通るのを待つことに。こんな状況でも、不思議と気持ちは落ち着いていました。
その落ち着きを感じ取ったかのように10分ほどで車が通りかかります。
事情を説明し、ガソリンをわけてくれと頼むと「悪いな。この車、ディーゼルなんだ。」
頭の中でスネ夫が自慢する時のBGMが流れました。
2台目3台目と同じセリフを残し走り去っていく車に、すこし焦りを感じ始めました。
ガソリンをもらうのは諦め、とりあえず村まで乗せて行ってもらう方向に切り替え再び待ち。
また10分ほどして、村の入り口までなら行くというトラックに乗せてもらえることに。
そして村の入り口に到着したはいいが、そこにガソリンスタンドなどというものはなく、その先の村の中心地に行ってもそんなものはないと聞かされました。さて困りました。
途方に暮れていると、近くの食堂の主人が出てきて「使ってないバイクがある。タンクにまだガソリンがあるだろう」と話しかけてきてくれました。ありがとう、本当にありがとう!とお礼を言いながら、空のペットボトルにガソリンを移す僕らに「チャイ飲むか?」とさらに優しく声をかけてくれました。それっきりチャイが出でくることはありませんでしたが笑
無事2リットルのガソリンを手に入れ、ここまで乗せてもらったトラックがレーに戻るということで再び乗せてもらうことに。ここでもまた、ラダックの人々の優しさに救われることになりました。
写真は僕らを乗せてくれたトラックのドライバーとそのお客さん?恋人?な二人。
彼らはこの中途半端な所に車を停め、日陰でイチャこいてました。何故こんなところで?その答えは、
こちら。岩が崩れ道がふさがってしまっていたのです。
聞くと無造作に置いてあった数十本のダイナマイトを全部突っ込んだらしいのです。
やりすぎだろバカヤロウ。
やちゃった感がいなめない後ろ姿。
「目の前の瓦礫をどければいいじゃん」
「でもこれどけたら、さらに崩れて上のでっかい岩が落ちてくるかもだから危ないじゃん?」
「うーん、、、あ!そっか!じゃあもっかい爆破して上の岩からおとしちゃえばいいじゃん!」
「確かに!よし、ダイナマイト持ってきて!」
「「ってもう全部使ってしまったやーん!」」
という壮大なコントを繰り広げているようでした。
しばしの沈黙の後、現場監督らしき男が「プラスティック爆弾持ってきたからもう大丈夫だよ」とニヤニヤしながら話しかけてきました。もちろんカウントダウンなどなく炸裂した爆弾によって巨大な岩の塊は崩れ落ち、残されたのはさっきまでの何倍もの瓦礫の山でした。
その様子がこちら。
その後瓦礫をどかすこと30分。バイクで来ていた僕らはなんとか脱出。こんなところでも現地の人々の優しさに触れることができました。しかし、後続の車たちが通れるようになったのはいつになったのだろうか。
工事現場の後ろにそびえる岩の柱。
根元にいる人間と比べると、その大きさがわかると思います。
こんなありえない絶景の中バイクを走らせ、結局レーに着いたのは暗くなってから。
バイクを返し夕食をとり、クタクタな僕らはすぐに眠ってしましました。
当初の目的は果たせませんでしたが、この旅の中で最大級のアドベンチャーでした。