TRAIL TRIP IN LADAKH 最終章
2016.8.22ジュレー!平馬です。
いよいよこのブログも最終章を迎えました。
今回は今まで紹介しきれなかった写真や、再び降り立ったデリーでの様子をお届けします。
(ちなみに挨拶で使っているジュレーは、おはこんばんちはにさよならとおやすみを足した、万能なラダックでの挨拶です)
ラダックのトレイルライド最後の一枚。青と白そして茶色の3色しかない世界。
パリパリに乾燥した澄み切った空気、太陽の近さを感じさせる強い日差し、手を伸ばせば届きそうなほどの低い雲が落とすはっきりとした雲。
どれをとっても非日常であり、初めての体験でした。
レーの町には犬が多い。みんな器用に日陰を見つけて気持ちよさそうに昼寝中。
しかし日が落ちて、街灯もほとんどなく暗くなった町は彼らの世界。会話のような遠吠えがあちこちから響いていました。
警戒心が強く、狂犬病の危険もあるためモフることは叶いませんでした。
犬からおあずけをくらった状態でふらふらと入った一軒のピザ屋。
キャンキャンと久しく聞いていない甲高い鳴き声が聞こえてふとテーブルの下を覗くと、
うおーーーーーー!!子犬!こいぬ!ぱ、ぱ、パピーがおるやんけぇーーーー!!!しかもめっちゃ人懐っこい!
いやはやこの乾燥しきった辺境の地でカラッカラになってしまった僕の心に潤いが満ち….ん?….あれ!?
もう一匹いらっしゃたぁぁアアァア!!!ストラップ噛んでる!構わん、一向に構わんっ!いっそくれてやるわ!
ふぅ、なんだこの店。最高かよ。
すいません、ちょっと取り乱しました。
ここからはラダック→デリーまでの印象に残った写真を紹介します。まずは一枚目。
飽きるほど見てきた褐色の山々。
山肌には木々は全くと言っていいほど無く、代わりに堆積と隆起を繰り返してきた彼ら自身の歴史を刻みつけています。
どこに行っても周りの興味を引くマウンテンバイク。当然、乗らせてくれとせがまれます。
おれも私もと代わる代わる人がやってきて、ちょっと目を離せば「え?お前誰だよ!」という人が乗ってたりします。
これもその一枚。お前誰だよ笑
お前ら誰だよ。
伝統的な装いのレーの御婦人方。
RPGでラスボスの手前に出てきて、3体同時に倒さないといけない中ボスの雰囲気がありますね。
左の方は物理攻撃、真ん中は補助魔法やステータス異常系、右は攻撃魔法担当ですね。当然、水属性が弱点。
いよいよ約二週間滞在したレーを離れデリーに戻ります。
どんなに過酷な場所でも、どんなに帰国の日が待ち遠しくとも、思い出のつまった土地を離れるのは寂しいものです。
レーの空港に入り搭乗手続きへ。係りの女性から、荷物の超過した分の重さに対するアップチャージの説明を受け支払い窓口へ。
手持ちのルピーがなかったため、両替所やATMはどこかと尋ねると「町にある」との返答。
町まで戻らないといかんのかと焦る僕らを救ってくれたのは窓口のおっちゃんでした。
なんと『個人的に』両替を引き受けてくれたのです。
しかも、町での平均的なレートを申し出た僕らに対し疑うこともなく「ホント?」と冗談ぽく笑ってポンポンと紙幣を渡してくれました。
外国人だから、旅行者だから、髭面だからとかそんなことは関係なく助けてくれました。
僕は最後の最後まで、このラダックという辺境の土地に住む人々の優しさに胸がいっぱいになるのでした。
そんな朗らかな気持ちで最後の検問へ。無事通過し、機内に持ち込めない、没収したものを入れる箱に目をやると、ライターやマッチの中に生のニンニクが二つ転がっていました。
この二つのニンニクのインパクトに、窓口のおっちゃんの優しさがかき消されそうで少し焦りました。
そして僕らを乗せた飛行機は、一時間半で3000m以上標高を下げデリーに到着。
湿った空気が肺いっぱいに流れ込んでくる感覚で、あのレーの町からはずいぶん遠くに来たのだなと感じました。
そしてデリーのバザールにあるホテルに宿を決め、帰国までの二日ほどを過ごすことに。
空気の濃さや気温の高さ、何より人の多さにクラクラしながら歩きまわりました。
裏路地には生活感が溢れ、生きることへの執念のようなものさえ感じました。
ここデリーでも子供は純粋そうできらきらと輝いてました。
カメラを向けると笑顔でポーズを取ってくれる子供達。
このあと撮影料だと言わんばかりにカメラと自分達を交互に指差し小遣いをねだられ、ポケットにあった小銭を渡すと飛び跳ねながら去って行きました。
味をしめたのか、さらに多くのキッズを引き連れ追いかけてくる彼らから逃げるのは一苦労でした。
バザールの夜。
日が落ちてからも人の行き来と気温は変わらず、賑やかな熱帯夜は毎日続きました。
最後は空港内のトイレ。
ひょっとしてインド人専用かと入るのをためらうほどのインパクト。
よりシンプルで分かりやすいフラットデザインが流行する現代においても、やはりインドはインドでした。
ここまで、僕がラダックという土地に降り立ち、そこで見たことや感じたことを文章にするということの難しさに悶えながら書いてまいりました。
文化や風土の違いにとても大きな衝撃を受け、理解が追いつかず困惑したこともありました。
しかしそのどれもが決して嫌なものではなく、むしろ触れるたびに自分のちっぽけだった世界観が広がっていくことにワクワクしました。
ラダックから西伊豆に戻り、いま僕はこれまでと同じように日々を過ごしています。
それまでと見える景色が違ったり、人との接し方が大きく変わったりはせず、見慣れた風景の中でいつも通りの生活をしています。
しかし、こうやってブログを書き、写真を見返す時、ラダックの風景が鮮明に思い出されるのです。
マウンテンバイクに乗って西伊豆の古道を走る時、あの砂漠のようなトレイルを無意識に思い出すのです。
目に見える、または確かに感じられる変化というものは少ないですが、意識の裾野とでもいいましょうか、そういった根底の部分に確かにラダックは存在します。
今回の旅での刺激が、僕のこれからの人生にどう影響してくるのかは分かりませんが、行ってよかったとハッキリ言えるものでした。
これにてラダック遠征記は終わりを迎えます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ラダックに住む人々への感謝と、雄大な自然への敬意を込めて。